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      特別寄稿 〜 弁護士 國部 徹 先生より  

 平成19年4月より「離婚時の年金分割」、平成20年4月より「第3号被保険者の厚生年金の分割」施行されます。世間では熟年離婚が増えており、この法改正により、「離婚をもう少し先に伸ばそう」などという声や、制度内容についての新聞・雑誌等の特集もご覧になった方も多いと思います。
 しかし、「お金の分割」に注目が集まる中で「離婚」そのものについてはあまり語られていないように思います。
 今回、弁護士 國部 徹 先生より特別寄稿をいただきました。数々の離婚訴訟を経験されている國部先生に、法律的な立場で「離婚の現実」について、わかりやすく解説していただきました。

 ● プロフィール 
氏   名 : 國部 徹(くにべとおる)
生年月日 : 昭和35年12月9日生
事務所名 : 國部法律事務所
所 在 地 : 〒105−0003  
         東京都港区西新橋3丁目15番13号西新橋AIビル
         2階
電   話 : 03(5405)8551
F  A  X : 03(5405)8552
経   歴 : 東京大学出身   
         平成4年弁護士登録(東京弁護士会)


【離婚はやはり大変なこと】
 かつては、離婚とは要するに「結婚に失敗したこと」を意味する敗北であり、それ自体が不名誉なことと考えられていたこともありました。しかし、人の生き方が多様になり、また、女性の経済力が増して「生活のため」だけに婚姻関係を維持する必要がなくなってくると、離婚は再出発のための選択肢の一つになってきました。
 しかし、一度一緒になったものを無理矢理分けるのは、やはり大変です。子供の親権や養育費、住宅ローンの残った不動産の処理、女性の再就職や年金分割など、解決しなければならない問題が山のようにあります。これらはすべて、夫婦が共同して子供を育て、何十年もかかってローンを返済しながら家を確保するために夫婦が分業する、という前提で進めた「共同事業」の後処理です。

【インターネット情報の功罪】
 もう一つ、大きな変化をあげるとすれば、やはりネット情報の充実でしょう。
 家庭裁判所が用いている養育費・婚姻費用の「算定表」の存在は、もう常識に近くなっており、誰でも簡単に「相場」を知ることができるようになりました。また、経験者のブログや弁護士の広告などによって、慰謝料の金額の目安についての情報も得られるようになっています。このような「情報」を適切に活かせば、自分がどんな権利を主張できるのか(どの程度の義務を負うのか)について、事前に予測を立てることができますし、お互いが相場に近い認識をすることで、早期に離婚条件の合意をすることもできます。
 ただし、ネット情報を過信するのは危険です。特に、離婚経験者の体験談は、一つのケースで出た結論に過ぎないものが、一般的な相場であるかのように誤解されることがあります。ですから、他のケースのどの点をどの程度参考にできるか、をきちんと見極めなければなりません。

【「今決められること」とそうでないこと】
 離婚を考えている人にとっては、ネットなどで得られる情報を頼りに、自分でいろいろ考えて条件を出してみる、という考えの人も多いと思います。それは、弁護士に頼むと費用がかかりますし、相手に「けんか腰」と伝わってかえってこじれることを心配するからでしょう。それはある程度は当たっていると思います。
 ここで大事なことをお話しします。それは、直面している問題が「今決められること」かどうかを考えてみることです。たとえば、比較的若年の共働き夫婦で子供がいない場合は、分かれるときの金銭関係だけ決めれば離婚できます。これは正しく「今決められること」の典型です。もちろん、離婚の原因が何であるか認識が一致しない場合、たとえば、浮気の有無が争いになっている場合には、「慰謝料」の有無や金額に争いがあるでしょうから、両者間の協議でまとめるのは大変ですが、それも要するに金銭問題と割り切れば、お互いに時間と費用をかけて裁判所で争うことのプラスマイナスを考えて決めることができます。
 これに対して、小さな子供がいる場合には、「先のこと」を考えなければなかなか離婚には踏み切れません。将来子供が進学するときにどの程度臨時出費があるか、なかなかわかりませんし、子供との面会交流も、子供の年齢やお互いの環境(特に再婚の有無)によっていろいろ調整しなければなりません。本当は、そのような問題が生じた時に、お互いが協議すればいいのですが、信頼関係を失って離婚しようとしている夫婦にとっては、相手との「協議」に期待をかけることはできないのが現実です。将来事情が変化することを考えないで安易に条件を決めてしまうと、後で対応が難しくなってしまいます。

【弁護士の活用法】
 弁護士を頼むとき、「今相手からできるだけたくさん取ってほしい」(逆に、できるだけ払わないで済むようにしてほしい)という場合は比較的わかりやすいと思います。弁護士は、いわゆる「相場」についての知識はもちろん持っていますが、同時に、紛争が長引いたりこじれたりする場合のコストについての知識をたくさん持っています。ですから、要するに費用対効果を弁護士と相談して対応を決めればいいと思います。
 そうではなく、「将来後悔しないようにしてほしい」というように、先のことに対する不安が大きい場合は、必ず弁護士を利用して下さい。弁護士は、その不安の内容を聞いて、今どの程度約束として固めておき、将来どの程度話合いの余地を残すか、について意見を述べてくれます。実は、この点が一番弁護士の活用しどころであると思います。
 弁護士を選ぶ際のポイントを3点あげておきます。まず、@きちんと話を聞き、疑問に親切に答えてくれる人を選ぶことです。特に弁護士費用についての説明を明快にしてくれるかどうかは、後で不愉快な思いをしないために非常に重要です。次に、A離婚事件に慣れている弁護士に依頼することです。慣れている弁護士は、交渉の際にポイントを外しませんし、相手の財産隠しや約束不履行への対応のノウハウを持っており、的確な対応をしてくれます。意外に悩むのは、B弁護士の性別です。自分自身と同性の弁護士の方が、悩みを分かってくれるという面では安心できるでしょう。しかし、離婚事件は夫側か妻側かで対応方針が大きくことなるため、相手の立場からの見方を参考にするという意味では、異性の弁護士の意見を聞くのも一つの方法です。最終的には、弁護士との「相性」で決めるのが一番だと思います。
 最後に弁護士費用の目安をご案内します。まず、@当事者間で決めた離婚条件を書面にするという依頼の場合は、よほど複雑な条件でない限り、10〜20万円程度でしょう。書面を「公正証書」(不履行の場合に直ちに強制執行ができる書類です)にする場合は、5〜10万円程度増額するのが普通です。次に、A離婚調停の依頼を受けた場合は、委任を受けた時点で「着手金」として30万円程度、依頼が実現すれば「報酬金」として40万円程度とお考え下さい。ただし、離婚に付随して養育費や財産分与を請求する場合(請求されている場合)には、その結果も重要になりますので、かかっている金額の大きさによって着手金も報酬金も増額されるのが普通です。最後に、B離婚訴訟の依頼を受けた場合は、「着手金」は30〜50万円程度、「報酬金」は40〜60万円程度が多いと思います。養育費や財産分与の大きさ次第で増額になることは調停の場合と同じです。ただし、これらの金額は、弁護士によってかなり上下の幅がありますので、必ず事前に確認して下さい。
  
         
                                      
                                       (掲載 平成27年8月1日)

               上記に記載されている寄稿の無断使用、転載を禁じます。

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                         年金Q&A-59 離婚時の年金分割
     

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